郷土学習活動支援事業の公募補助金を活用し校外学習(特別活動)を実施(兵庫県・高校生)

2014年2月14日(金)9時10分~14時35分まで、第一学院高等学校 養父本校通学コース在籍の1年次・2年次生を対象に、郷土学習活動支援事業の公募補助金を活用し、校外学習(特別活動)を実施させて頂きました。今回の校外学習を含め、本校の教育活動内容が相次いで新聞紙上で紹介されました。

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地域に散在する人的・物的な教育資源を最大限に活用し、行政とも密接に連携を取り合いながら、地域全体を学校と捉えた教育活動を推進している本校の教育活動の内容に対して、報道機関等を中心に関心が高まりつつある機運が感じられます。1月17日(金)に3年次生対象に実施された「将来設計学習Ⅲ」での外部講師2名による特別授業の内容が、また、2月14日(金)に1年次・2年次生を対象に実施し「校外学習」の模様が、それぞれ『日本海新聞』1月24日号・『神戸新聞』2月15日号に掲載され、養父市ケーブルテレビふれあいネットでも2月19日から一週間にわたって校外学習の模様が放映されました。

 

職場観察実施日:2014/2/14

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計画・進捗

本校では兵庫県但馬県民局が公募した「郷土学習活動支援事業補助金」を活用し校外学習(特別活動)を実施させて頂きました。本校は、地域全体を「学校」と捉え、周辺地域の方々にご協力いただきながら地域と共に生徒を育む教育に取り組むことを「コミュニティ共育」と名づけ、生徒の自他肯定感を育んでおります。

 
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この度の校外学習は、進学や就職を機に、若者が郷里を離れ、過疎化が深刻化する但馬地域において、生徒たちが郷土の自然や文化を学ぶ機会がないまま、郷土を離れていくことに対する憂いが出発点となりました。行政や地域の関連諸団体等と連携をとり合い、若者たちが醸成された郷土愛を持ちながら生きていって欲しいとの思いを共有させて頂きました。その結実として、行政の全面的なバックアップを頂戴し「郷土学習活動支援事業補助金」の申請が認可され、公的資金による校外学習実施が実現しました。当日は積雪の中、また、報道機関(『神戸新聞』『養父市ケーブルテレビふれあいネット』)の取材が入る中、実施されました。見学日当日の前段階として、1月17日(金)4校時(12時45分~13時35分)に事前指導を実施しました。地歴科・公民科・理化の教員5名が指導に当たり、それぞれ日本史分野・地理分野・産業分野・地学分野の専門知識を生かして独自性のある指導を行ないました。事前学習と見学日当日は生徒にワークシートを提出させました。

事前打合せ ・ 事前学習

<「校外学習」(特別活動)の目的と意義について>1 生徒が普段生活している身近な地域が誇れることや、地域特性について、歴史的背景など、多岐にわたって学ぶ機会を持つことによって、地元愛の醸成等の体験を通し、生徒の自己成長に繋げる機会とする。2 まずは「地域を知る」ことからスタートし、多くの大人との接点、地元愛の醸成等の体験を通して生徒の成長を図る。

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3 地域の教育資源を最大限に活用し、地域全体を学校と捉えた教育を具現化する機会とする。4 生徒自身が地域社会の一員としての自覚を持ち、地域の誇りを宣伝する機会をもち、広報活動を行なうことによって自己成長を図る「地域宣伝隊」の育成に繋げる機会とする。 <後援して頂いた外部機関・人名>① 養父市教育委員会 社会教育課 課長 谷本 進 様・岸田 明美 様② 兵庫県但馬県民局 地域政策室 地域振興課(鉱石の道推進協議会) 沖田 康平 様③ (株)シルバー生野 史跡 生野銀山 管理部長 田上 正昭 様 ④ 養父市 産業環境部 あけのべ自然学校 高田 和幸 様ほか<内容について>実施日当日の見学ならびに事前指導を行なった。事前指導については、既に1月17日(金)4校時(12時45分~13時35分)に実施済み。地歴科・公民科・理化の教員5名が指導に当たり、それぞれ日本史分野・地理分野・産業分野・地学分野の専門知識を生かして独自性のある指導を行ない、生徒には事前指導ワークシートを提出させた。事後指導課題も、地歴科・公民科・理化の教員それぞれが、日本史分野・地理分野・産業分野・地学分野の専門知識を生かし、独自性のある指導を行ない、施設見学実施日当日にワークシートを提出した。ワークシートについては、高等学校在学中の生徒の成長過程を綴っている生徒各自用の「自分未来史」と命名されたファイルに綴る。また、模造紙等を使用し、見学日当日の写真やワークシートの内容を切り貼りし、校内掲示物を作成して貼り出すことによって「地域宣伝隊」の育成へとつなげる。学習成果の告知については「鉱石の道推進協議会」など外部のホームページ等へのアップを企画する。

当日の様子

<見学日当日のタイムスケジュール(概略) >

9:00 養父本校 集合   

9:10 養父本校 出発  北近畿豊岡自動車道・播但連絡道路経由 

10:00 生野銀山 見学(特別活動):坑道内は年間を通して平均13℃程度。佐渡の金山・生野の銀山と言われた日本が誇る鉱山について見識を深めた。

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11:00 生野銀山 出発  播但連絡道路・北近畿豊岡自動車道経由 

12:00 あけのべ自然学校にて昼食休憩   

12:45 明延鉱山 見学(特別活動):坑道内は年間を通して平均12℃程度 国内随一を誇った「錫」産出量、レアメタル(タングステン)の産出等、地域が誇る「近代化産業遺産」を識る機会となった。

13:45 明延鉱山 出発   

14:40 養父本校 帰着   

*本校では、今回の「校外学習」をはじめとして、地域全体を「学校」と捉え、周辺地域の方々にご協力いただきながら地域と共に生徒を育む教育を「コミュニティ共育」と称し、生徒の自他肯定感を育んでおります。

一切の経費負担を公的補助金によって賄って実現した前例の少ない「校外学習」の模様を密着取材する報道機関のカメラマン。
一切の経費負担を公的補助金によって賄って実現した前例の少ない「校外学習」の模様を密着取材する報道機関のカメラマン。
風雪吹き荒ぶ中、報道機関の記者からの取材を受け、積極的に応じる本校の生徒。
風雪吹き荒ぶ中、報道機関の記者からの取材を受け、積極的に応じる本校の生徒。

兵庫県養父市のご厚意により無料で昼食場所を提供して頂くことが出来ました。本校と行政機関とは信頼という絆で結ばれています。
兵庫県養父市のご厚意により無料で昼食場所を提供して頂くことが出来ました。本校と行政機関とは信頼という絆で結ばれています。
バス車中にて、危険防止の為のヘルメットを装着し、いよいよ鉱山跡への入坑を目前にした本校生徒たちの姿。
バス車中にて、危険防止の為のヘルメットを装着し、いよいよ鉱山跡への入坑を目前にした本校生徒たちの姿。

坑道内部にて、過去に鉱山で働いた経験をお持ちのボランティアガイドの方々からの説明を、真剣な眼差しで聴き入る本校の生徒たち。
坑道内部にて、過去に鉱山で働いた経験をお持ちのボランティアガイドの方々からの説明を、真剣な眼差しで聴き入る本校の生徒たち。
本校教員と行政機関等の関係者は、生徒たちが地域が誇るべき宝についての学びを深め、郷土愛を醸成されることを願っています。
本校教員と行政機関等の関係者は、生徒たちが地域が誇るべき宝についての学びを深め、郷土愛を醸成されることを願っています。

新進気鋭の養父本校通学コース1年次生の8名。但馬と周辺地域の将来を担う逸材たちです。
新進気鋭の養父本校通学コース1年次生の8名。但馬と周辺地域の将来を担う逸材たちです。
『神戸新聞』2月15日号朝刊に掲載された記事より。
『神戸新聞』2月15日号朝刊に掲載された記事より。

事後学習

「鉱山についての歴史が奥深く、坑道内もリアルで、昔の人が掘った「狸堀り」という穴も、まるで秘密基地のようでワクワクしました。」(1年次生:男子)「木の柱など、昔の人の知恵が詰まっており凄いと思いました。また、寿命が短くなることが分かっていて鉱山で働くことは辛かったと思います。現代では考えられないと思いました。」(1年次生:女子)「今日は鉱山の坑道を見学し、これほどの規模のものが人の手で作られたことを初めて知って、驚きました。」(1年次生:女子)

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「生野銀山と明延鉱山とは、同じ鉱山であっても違いがあって、たいへん面白かったです。」(2年次生:女子)「明延鉱山は、銅や錫が多く産出され、錫について、一時期は、日本のシェアの90%を占めていたこともあると聞いて驚きました。その当時のことも詳しく聞くことが出来て、たいへん勉強になりました。」(2年次生:男子)「このような鉱山を探索し、採掘した昔の人は本当に賢かったんだとあらためて感じました。昔の人たちから学べることがたくさんあります。過去を知ることによって、今に活かせることを考えられると思いました。」(2年次生:男子)「案内して頂いた方々の説明が、たいへん詳細に、丁寧に教えて下さったので、初めて知った事や再発見した事がたくさんありました。どちらの鉱山も広大さが感じられました。昔の人たちは、あのような悪条件の中で働いていたという事に対して尊敬の念を抱きました。また、そのような人たちのおかげで今の私たちの生活が成り立っている事を知りました。」(2年次生:女子)「今の世の中に存在しているものは、昔の人の努力や犠牲の賜物であり、僕達は、もっと感謝していかなければならないと思います。」(2年次生:男子)「生野銀山と明延鉱山とでは雰囲気が違ったり、足場の安定感が違ったりしており、面白かったです。良い思い出になりました。」(2年次生:女子)「今回の校外学習で初めて坑道内に入り、暗くて狭い所で人が仕事をしていた事が信じられませんでした。坑道が人が掘ったとは思えないぐらい長くて驚きました。鉱山は危険な事が多く、そのような中で働いていた人は凄いと思いました。また、このような危険な仕事をやろうと思った昔の人達に対して魅力を感じました。」(2年次生:女子)

所感 ・ 振り返り

この度は、第一学院高等学校 養父本校通学コース在籍の1年次生と2年次生を対象に、兵庫県但馬県民局が公募した、郷土学習活動支援事業補助金を活用し、鉱石の道に係る校外学習(特別活動)を実施させて頂きました。但馬地域など、わが国の地方と呼ばれる地域における現状を鑑みるに、高等学校までの就学期間を過ぎると、多くの若者は、進学や就労のために郷里を離れ、過疎化の進展は益々勢いを増しております。

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人口動態上における問題以外に、この時は顕在化しない課題として、自身の故郷が誇るべき宝について十分な知識もないまま故郷を離れ、新たな人間関係の中の話題としても、郷里の誇るべき自然や文化などについての会話もないままでその生涯を過ごすということは、その人の人格形成やアイデンティティの喪失にもかかわる深い問題を投げかけていることが考えられます。本校の教職員は、このような状況を真剣に憂えて、この度の授業を企画させて頂きました。授業では、生徒たちが、世界に誇るべき産業遺産を目の当たりにし、郷土愛を醸成されることにより、意欲を喚起され、自己成長の軌道へと大きく躍進していく契機としていくために、次のステップへと羽ばたいていくために、本校の教育プログラムとして、独自性のある指導の場とさせて頂きました。尚、今回実施させて頂いた校外学習の諸経費については兵庫県但馬県民局が公募した郷土学習活動支援事業補助金によって賄わせて頂きました。

実施校・参加者

私立 第一学院高等学校 養父校 1・2年次生

男女27名