趣味が仕事を支えている(東京都・高校生)

落語家の方の落語を実際に聞いて、自らの言葉の発信力に活かしてはどうかという案内を生徒に行った。その方は別の仕事(キャリアカウンセラー)を生業としている。仕事のスキルを上げようと始めた落語が、単に仕事に役立っているだけではなく、私生活の充実や周りの人の笑顔、自らが生きることへのモチベーションアップにもつながっている。落語を通じて、言葉の力や発信力、表現力だけではなく、一見まったく関係ないと思われることでも、経験は財産になることを感じることができた。

 

しごと講話:2014/1/27

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計画・進捗

きっかけは、生徒の語彙力や発信力が足りないという会話から、仕事のために始めた落語を本格的にやってらっしゃる方がいるというのを伺って、しごと講話をお願いしてみようという計画がスタートした。(12月初旬)

仕事と趣味の関係性に着目し、現代の子供たちは何かをする前に、「これは自分に関係ある」とか、「あまり興味はないから」など、周りにある貴重な経験の機会を無駄にするケースが多いので、経験が自らの財産になっていくことを認識してもらえるような話も盛り込んでいただけるようにお願いをした。

事前打合せ ・ 事前学習

1月15日、実際に講演をしていただく方にご来校いただき、当日の流れについて以下のような打ち合わせをした。

実際に落語を演じるときと同様、着物を着て出囃子を流して入場。生徒には、落語家の方と案内し、スタートする。

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1、演目を一つ披露していただく

2、実は、現在の本当の仕事はキャリアカウンセラー

3、なぜ落語をやろうと思ったのか

4、仕事の面で役に立ったこと

5、仕事の充実、落語の魅力など ~ちょっと小噺の体験もやってみよう~

当日の様子

まずは担当職員から説明を行い、ワークシートを配布。各自が持っている古典落語のイメージを記入すると、「古いまたは昔の話」、「笑点」、「座布団」、「身振りが大きい」、「扇子や手ぬぐいなどの小道具」などいろんな意見が出る中、興味・関心は高まり、いよいよ落語家さんが登場。

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出囃子にのって登場してきた落語家さんだと思っている人に、大きな拍手が巻き起こりました。噺が始まると最初、生徒たちは硬い表情でした。しかし、一生懸命演じてくださっている落語家さんの噺の内容、身振り手振りに少しずつ笑いが。そして、「時そば」を演じ終わると、大きな拍手が起きました。

そこで、担当の職員からタネ明かしが。「さあ、この方の本当の仕事は何でしょうか」の問いかけに、生徒からは驚きの声が上がりました。そして、本当の仕事がキャリアカウンセラーであること、落語を始めたきっかけ、仕事の面で役立っていることなどが語られると、一生懸命メモを取りながら真剣な表情で話に聞き入る生徒の姿がそこにはありました。さすがに、小噺に挑戦してみようという呼びかけには、少し尻込みする生徒たちでしたが、落語の魅力や話術に興味を持つことができた1時間でした。

「時そば」を演じています
「時そば」を演じています
実は「落語家」ではありません
実は「落語家」ではありません

落語のこと、仕事のことを熱く語る
落語のこと、仕事のことを熱く語る
参加した生徒とハイポーズ!
参加した生徒とハイポーズ!

ちょっと高座から景色を体験
ちょっと高座から景色を体験

事後学習

時間の最後に、それぞれの感想をワークシートに記入してもらいました。以下の内容は、生徒の感想の一部です。

・落語を実際に見るのは初めてでしたが、とても興味を持ちました。プロの落語家さんの演じる様子も見てみたいと思いました。

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・落語はとても面白いものだと思いました。その落語を仕事に結び付けるという考え方はとても重要だと思いましたし、趣味を話に活かせれば相手との話も膨らむということがわかりました。

・落語は人に元気を与える。さらに、身近なことにも活かせるということがわかった。

・趣味もそれを極めたら武器になるということがわかりました。

・ちょっと学校では笑いずらかったが、とても面白かった。いろいろなオチがあるので、深めれば深めるほど味が出ると思いました。

・自分の苦手なことや短所を、何とか克服したいと思って落語を始めたことはすごいと思いました。私も何か変わりたいと思ったときに、何かを見つけて取り組みたいと思いました。

・他の人が笑顔になることが、本当にうれしいということに自分も共感できました。

所感 ・ 振り返り

伝統文化に興味を持つこと、そして、言葉の発信には様々なスキルが必要なことを感じてほしい。こうしたことを、一つ目の目的として考えていた。実際、聞いてみたら古典落語は面白いということ。言葉は使いようで、相手に対して伝わり方が変わること。コミュニケーションする上でも、言葉だけでなく身振り手振りや、言葉の強弱、視線の使い方など様々なスキルを用いたら、人間関係が大きく広がっていくことを感じることができたのではないかと感じた。

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もう一つは、一見、関係のないように感じることも、実は、必ずどこかでつながっているということを、実感してもらいたいと思っていたが、生徒は、今回のこの授業を通じて、趣味や私生活での取り組みが仕事を支えたりすることもあり、また、仕事や人生に対するモチベーションにもつながるということを感じたのではないかと思った。どんな点を強く意識したかは、生徒によって異なるが、ワークシートの記入には、いつも以上に熱心に取り組んでいた形跡を感じることができた。

協力者 ・ 生徒の声

<協力者の声>

ワークシートのコピーを受け取りました。落語をきっかけに将来を歩んで行く気づき、ヒントになれば、少しでもお役に立てればと思っていましたが、生徒さんからのうれしい感想、フィードバックは私にとっての今後の励みになりました。充実した時間、貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。

 

<生徒の声>

落語をやっている時、落語のことについて語っている時の熱い話は、本当の落語家にも匹敵するぐらいでした。その人が、実際にはキャリアカウンセラーだということを聞き、二重の驚きでした。やはり、何でも極めていくと、それが自分の人生で自らを支えてくれる力になるのだと強く感じました。すごくためになりました。

 

協力先名

株式会社日本マンパワー 原 隆靖(はら たかはる)さん

実施校・参加者

私立 第一学院高等学校 高萩校(四ツ谷キャンパス) 1・2年次生

男子16名、女子9名