★動画あり★被災地ボランティアを通じて、津波被災地の今を知ろう!②(宮城県・高校生)

2011年3月11日14時46分、東北地方太平洋沖を震源とするM9の大地震が発生しました。仙台キャンパスでは、2013年6月7日に初めて被災地支援ボランティアを行い、4名の生徒がボランティア活動を行っています。震災から2年8ヶ月がたちました。被災地の話題は日に日にメディアで取り上げられることが少なくなっています。

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仙台キャンパスの生徒であっても、被災地が今どのような状況にあるのか分からない生徒が多くなっています。

震災の風化が進む中、被災された方々はいまだ復興の途上中です。よって、その現状を知り被災地域にあるキャンパスとして、復興の一助となる被災地ボランティアを再び行うことにしました。

しごと講話:2013/11/12

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計画・進捗

被災地では、復旧期のガレキ撤去や農地の再生などが一段落し、復興へ向けた過渡期にあります。今までは、ボランティアの方々の力を借りて復旧作業が行われてきました。今後は地域の課題を克服しながら、地域にある魅力を生かしていくサポートがボランティアの役割になってくると考えられています。

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今回の活動は、復旧期のボランティア作業の終盤に位置づけられます。来年、あるいは10年後に向けた最後のサポート活動に、前回と同様、被災地支援活動を続けている支援団体の方々の協力をいただき、参加させていただくこととなりました。活動地は仙台市の中でも農家の方が多く生活している若林区です。今回も農地を再生していくための復旧作業に従事できることになりました。

津波で被災し復旧の進んでいない田んぼ
津波で被災し復旧の進んでいない田んぼ
海岸付近は復旧工事が行われています。被災した松林も見えます
海岸付近は復旧工事が行われています。被災した松林も見えます

事前打合せ ・ 事前学習

10月上旬、6月以来の活動となる被災地支援ボランティアを行うにあたり、被災地にて活動を続けている支援団体の方と打合せを行いました。6月には毎日ボランティア活動を実施していた支援団体も、10月以降は活動日を徐々に減らしていくとのこと。ボランティア活動の在り方を今後は変化させていきたいという団体側の考え方を伺いながら、仙台キャンパスでボランティア活動を行う日を調整しました。

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日々刻々と被災地で求められる支援活動は異なります。当日まで作業内容は決定されないということを参加生徒と共有し、まずはどのような支援活動になっても対応できるように、準備を整えることにしました。

当日の様子

11月12日(火)、被災地支援活動実施日の早朝、宮城県では震度3の地震がありました。まだまだ当時の大地震が原因と考えられる余震が続いています。そのような状況下、生徒とともに仙台駅前から市営バスに乗り活動に出発しました。

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6月に訪れたときに始まっていた、土地の造成作業が進んでいる様子がバスの窓から見えました。災害公営住宅の建設や、新たな住宅の建設用地の区画整理が急ピッチで進んでいるようです。被災した家屋もリフォームが進み、一見すると日常を取り戻しているように見えます。しかし、目を海岸の方へ転じれば、震災前は松並木が続いていた防風林が大きく失われている様子が見えます。大きな集落があった地域も、ほとんどの家が取り壊され、とても広大な空き地が出現しています。被災地を訪れるたびに、震災以前の様子を知っている場所では失われた風景に絶句し、震災以前の様子を知らない場所では、被災前の風景を想像することが難しい光景に絶句することになり、震災の大きさをまざまざと体感することになります。それは未だに慣れることがない感覚です。

集合場所のボランティアハウスに到着し、活動開始。まずは、被災地の現状について、お話を伺います。今回お話いただいたのは、支援団体のメンバーである大学3年生の仁木さんです。復旧期から復興期に向けて、活動内容が変化してきていることを教えていただきました。ボランティア活動から学べることとして、「ボランティアが支援する相手の力を阻害するような自分本位の活動を続けてはいけない」「相手の気持ちにたって考えることで、自己満足の活動から、相手が満足する活動に変わる」といった話を伺いました。ボランティア活動の考え方について、とても深く考えさせられるお話でした。その他、来年以降に始まる予定の復興期ボランティア活動は、地域の魅力に触れながら、地域の方々とともに行う作業になっていく、といったお話も伺いました。

昼食休憩を挟んでいよいよボランティア作業に合流します。今回の作業は畑の土の選別作業です。津波によって堆積した土砂をふるいにかけて、石などの異物を土から取り除きます。異物を取り除いた土は、庭や畑の土として再利用されます。今回の現場は、支援団体に活動を要請された被災者の庭先であったため、震災時のご苦労をうかがいながら活動を行うことができました。生活環境を復旧させるために多くの労力と資金が必要となり、やっと畑を再生させる作業に入ったものの、人手が足りずボランティアをお願いするに至ったとのことです。ガレキが取り除かれた土の山を、嬉しそうに眺められている笑顔が印象的でした。参加した生徒も、時折みぞれが降るような寒い日であったのにもかかわらず、一般のボランティアの方に教えていただきながら額に汗して作業を行いました。

ボランティア活動開始!
ボランティア活動開始!
支援活動の現状をうかがいます
支援活動の現状をうかがいます

作業の合間の小休止
作業の合間の小休止
家の周りは屋敷林が囲んでいましたが、その多くは津波による塩害で失われてしまいました
家の周りは屋敷林が囲んでいましたが、その多くは津波による塩害で失われてしまいました

一緒に活動したボランティアの皆さんと
一緒に活動したボランティアの皆さんと

事後学習

被災地支援活動を体験しての振り返りを行いました
被災地支援活動を体験しての振り返りを行いました

事後学習では、被災地支援ボランティアの活動に参加する前と参加後のイメージの違いを共有しました。そもそも被災地支援ボランティアに参加した動機は、「人のために行動することに興味があったから」「少しでも地元の役に立ちたかったから」と、語っていました。被災地域に持っていたイメージについて、報道などの影響で暗いイメージや、何もない荒涼とした土地が広がっているのではないかと考えていたそうです。

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しかし、実際に被災地域に足を運んでみたところ、畑や田んぼが再開できているところがあったり、住んでいる方がいらっしゃることに、被災地の状況変化を感じることができたようです。しかし、畑や田んぼの再開できている地域がある一方で、土地の区画整理事業が進んでいなかったり、生活の再開めどが立っていない地域があったりする現状を改めて知ることができました。また、実際に地域に根付いて支援活動を実践されている方から、ボランティア活動の心構えを教えていただき、一方的なボランティアではなく、相手の立場に立った活動の大切さを教えていただきました。新たな気づきを得られた活動になり、参加生徒も「自分なりに精一杯活動しました」と話していました。


所感 ・ 振り返り

被災から日常を取り戻すためには多くのパワーが必要です。しかし、そのパワーを被災された方々が皆同じように得られるわけではありません。場合によっては、多くの時間をかけて復旧復興へ進む方もいらっしゃいます。したがって、復興のスピードも地域や個人で違います。ボランティア活動も、地域の復旧復興の段階的な変化に合わせて、継続いていく必要性があることを教えていただきました。

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2回目の活動でしたが、地域に根付いて支援活動を行っている方々のお話は経験に元ずいており、学びの多い活動となっています。

生徒の声

重光 啓太さん

 

小野寺 雄大さん

協力先名・URL

震災復興・地域支援サークルReRoots(リルーツ)

http://reroots.nomaki.jp/

実施校・参加者

私立 第一学院高等学校 高萩校(仙台キャンパス) 2年次生

男子2名