まさしく「ジョブシャドウイング」からスタートした職場見学となりました。美容師さんたちを観察していて印象的だったのが、タオルを整理するシーン。一人の手の空いた美容師さんがタオルを畳んでいました。しばらくするとタイマーが鳴り、タオル畳みの途中でお客様のところへ。そして、またしばらくすると、他の美容師さんがすかさず先ほどのタオル畳みの続きを始めたのでした。仕事の流れがしっかり確立されていて、見事なチームワークです。生徒たちはこれぞプロの仕事という場面を観察できたのではないでしょうか。

10分ほど観察していると、店長さんの担当していたお客様がお帰りになり、私たちに声をかけてくださいました。そこで、用意しておいた質問をさせていただきました。その中で興味深かったのが、「仕事をしていて大変なことは何ですか」という質問に対する答えでした。「そうですね、特にありませんね。楽しいことばかりです。もちろんアシスタントのうちは大変ですけれど、大変だったら早くスタイリストになればいいだけですから」。手に技術を持った人の自信とプロの厳しさが感じ取れるお話でした。

しかし同時に、わずかな訪問時間ではありましたが、「ずっと立ちっぱなしで疲れた」と、決して楽しいだけの仕事ではないことを体感できたようです。また、女子生徒は、「将来の夢を考える上で参考になった。今日の経験を糧に自分の夢を明確にしていきたい」との感想を話してくれました。

訪問から約1週間後、自分たちが学んだことやお世話になったお礼の気持ちをまとめた「報告書」と、貴重な時間を割いてお話いただいたことへの「感謝状」を持参して、美容室を訪れました。店長の小林さんは接客中であったため、当日お世話になった唯一の男性美容師の木村さんに感謝状をお渡ししました。同時に、訪問でお世話になった美容師志望の男子生徒が美容系の専門学校に合格したことを報告させてもらったところ、喜んでいただけました。美容室「ヘアー スペース パティオ」のみなさん、本当にお世話になりました。

そして、高校時代から美容の勉強をされている男性美容師の方から、美容専門学校志望の生徒へのアドバイスで、「技術はあきらめなければ必ず修得できる。やると決めたからには途中でやめないこと」という言葉がたいへん感動的でした。