近くの大国を知って、世界で働く(熊本県・高校生)



熊本大学に講話の申し込みをし、「中国と日本の文化の違い」をテーマに講義を行っていただきました。生徒たちは文化の理解・視野の拡充だけでなく、「コミュニケーションとは」「理解とは」というところまで考えてくれました。授業後、事後ワーク・お礼の手紙を作成し、後日郵送させていただきました。

 

しごと講話:2013/6/27

計画・進捗

GDP第2位、世界経済に大きな影響力を持つ中華人民共和国(中国)。近い国であるにもかかわらず、私たちはあまり中国のことを知りません。一番近い地域という点からも、九州にある当キャンパスには、以前より中国からの帰国子女の生徒が在籍しています。そのようなことから、「身近だが余りよく知らない中国について学びたい。」そんな声が生徒の間から上がったのをきっかけに、「中国を学ぼう」となりました。さらに学ぶことを通して、国際理解や視野を広げ、世界を職場と考えることへのきっかけとして、地元熊本大学に「しごと講話」の依頼をし、実施することになりました。

事前打合せ ・ 事前学習

大学の先生に依頼をすることから、文書作成からのスタート。お引き受けいただく教授の方が決まってからは、直接やり取りして打ち合わせを行いました。高校生でもわかりやく、身近な題材で、文化の違いなどが理解できるような内容で実施いただけることになりました。ホームルームにて事前学習を行いました。中国に対して現時点でどれくらいの知識があるのか、どんなイメージを持っているのかなどを話し合い、ワークシートに記入しました。やはり「近いけどよく知らない」が多く、また、「激しい対日感情を持っている」というような意見もありました。

当日の様子

6月27日(木)13時から熊本大学文学部 準教授の伊藤正彦先生による「しごと講話」がスタートしました。先生のご専門はアジア史です。今回のテーマは、「中国の『姓』と『日本の苗字』」。講義形式であることから、少し生徒の様子が気になったのですが、背景となる歴史などから順序立てて丁寧に解説をいただけたこと、また、世界でも発見者と伊藤先生だけしか観たことがないという、貴重な中国の写真やデータなどを見せていただくことができ、興味深く聴くことができました。

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「自分を知るためにはまず相手を知ること。中国のことを研究するのは、日本との文化の違いをはっきりさせるためであり、それにより深く日本の文化・習慣が理解でき、最終的に自分自身のことを知ることができるため。」と、伊藤先生は最後におっしゃいました。これは学問分野だけではなく、日常の生活でも同じことだと思います。自分自身を客観的に知るためには、まず相手を理解し、互いを理解し合い、それにより自己理解が深くなります。中国を研究するということを通して、そのことを実践されている伊藤先生の姿に、生徒たちは深く感動していました。

講話スタート
講話スタート
生徒配布用の資料、データは宝の山です
生徒配布用の資料、データは宝の山です

大変珍しい貴重な資料
大変珍しい貴重な資料
講話の様子
講話の様子

1つの資料から、様々なことが読み取れます
1つの資料から、様々なことが読み取れます
講話終了
講話終了

事後学習

講話終了後、事後学習を行いました。ワークシートに今日の学びをまとめ、グループで共有しました。事前学習での中国に対するイメージとは異なる感想が多く聞かれました。歴史的背景による習慣・文化を知ることで、お互いの理解が深まり、否定で無く違いとして認知することができたからだと思います。中国人の友達がいる生徒などは、より深く感じていました。最後にお礼の手紙を作成。後日、お礼状と授業の写真を一緒に郵送しました。

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終了後に、伊藤先生に生徒の様子を伺ったところ、予想以上に東アジアの歴史に興味を持ったことに驚いたとのことです。また、講話を聞く姿勢などから、素直な生徒が多い印象を持っていただけたようです。また、同大学文学部の歴史学科に進学した当キャンパスの卒業生を伊藤先生がご存知で、話に花が咲きました。今回の学びを活かし、今後も継続して実施していきたいと思いました。

所感 ・ 振り返り

当初、近いがよく知らない中国を知ることを通して、視野を広げ、将来の職業選択を国際的に考えるきっかけとなればと考えていましたが、それ以上の収穫がありました。自己理解のための相互理解、相手を否定するのではなく、違いを認知理解することが国際理解であるなど、コミュニケーションの重要性まで話ができました。どんな仕事もコミュニケーションが大事で、国際的な仕事なら尚のこと。今度は学んだことを具体的な行動に移せるような取り組みや活動ができたらと思っています。

 

 

実施校・参加者

私立 第一学院高等学校 養父校(熊本キャンパス) 2・3年次生

男子9名、女子8名