様々な職業がある中で、医療系は希望進路として人気職種の一つです。しかしながら、それらのお仕事に従事する方の生の声を聞く機会はなかなかありません。そこで今回は、第一学院高等学校の卒業生で、歯科医院を開業されている方のご協力をいただき、職場観察を行いました。
職場観察実施日：2013/6/28
計画・進捗
職場観察や体験授業では、プロフェッショナルとして働いている方々の仕事に対する向き合い方や仕事内容などを五感を使って学びます。歯科医院で職場体験をするには患者さんのご理解も必要になるため、なかなか簡単に実施ができません。そこで、歯科医院を開業している仙台キャンパス1期生の方を頼り、職場体験をさせていただくことになりました。
歯医者さんでは歯科医師の他に、歯科衛生士や歯科技工士など、様々なスタッフが患者さんの治療に携わっています。今回は、希望進路に歯科技工士を考えている生徒とともに、職場見学・体験を実施しました。
事前打合せ ・ 事前学習
事前学習では、訪問先が仙台キャンパスの卒業生であること、職場見学・体験の目的を確認しました。生徒からは、目指すための進学先や働き方、更に歯科医師さんとどのように協力して治療を進めていくのかを知りたい、という声が上がりました。
当日の様子
6月28日、仙台駅に集合し、歯医者さんのある若林区へ出発。到着すると、診察室へと案内されました。午前の診療時間が始まっており、診察室内には患者さんがいらっしゃいます。まずは、佐藤院長からお話を伺いました。生徒たち最初、診察室という場所に少し落ち着かない様子でしたが、気持ちのこもったお話にどんどん引き込まれていきます。歯医者さんとは、患者さんに「食事ができるようになってもらうため」、「自由にお話ができるようになってもらうため」の治療をしているとのこと。
患者さんに行うのは「提案」であって、「治療する」「治療しない」は患者さん自身が決めること等を伺いました。歯医者さんは、患者さんの意思を尊重し、コミュニケーションを大切にしながら働かれていることを教えていただきました。
お話を伺っていると、予約の患者さんが診療室に入室されました。すると院長先生は、生徒に、院長が学生時代に使われていた白衣を着て、診察台の脇で観察するように言いました。院長先生は患者さんに、見学生徒の理由を説明され、更に「○○さん、気にしないでくださいね」と声をかけられます。生徒は治療を受ける患者さんの傍で、院長先生の仕事を見ることができました。歯の石膏をとった際に、どのようにして歯科技工士が歯形を作るのかなども観察することができました。次から次へと患者さんがいらっしゃる忙しい時間の中、十分に色々なお話を伺うことができました。観察を終えた生徒は、「今まで歯科技工士の仕事について漠然としていたけれど、知らなかった働き方が少し分かったように思う」と話していました。
事後学習
観察時間は約90分でしたが、様々な気づきがあった職場体験となりました。佐藤院長が歯科医になることを決断した理由や、挫折体験のお話をはじめ、「長く働くことの秘訣」、「職場スタッフとのチームワークの大切さ」、「自信を持つことの大切さ」などを教えていただきました。
佐藤院長が、患者さんに声をかけながら治療されている様子は、まさに教えていただいたことの数々の実践であり、プロとしての仕事に対する姿勢を見ることができました。事後学習では、歯医者さんの仕事の実務について、具体的にイメージできたことを確認。歯科技工士を目指すための進学先が仙台市内にいくつかあること、就職先でも病院勤務だけではなく工場などもあること等、今まで知らなかった知識も得ることができ、これからの進路選択を具体的に考えるきっかけになりました。
所感 ・ 振り返り
今回参加した生徒が歯科技工士を目指すようになったのは、歯医者さんに行った時の医師との会話から、研磨することの面白さを知ったからです。お世話になった佐藤院長も小学生の時に、「格好いい歯医者さんと出会ったから歯科医を目指した」とお話されていました。しかし、順調に歯科医になったわけではなく、高校生の時には大きな挫折を経験されたそうです。
「その挫折から、第一学院で出会った先生に引き上げられて、また歯科医を目指せたのだ」と感慨深く話されていました。また、生徒に、「第一学院で勉強すると決めた時から、君には決断力があるんだよ。私も協力するよ！」と情熱的にお話いただき、生徒たちの背中を見守っていただいている心強さを感じた職場体験でもありました。
主催団体・参加者
私立 第一学院高等学校 高萩校（仙台キャンパス）
男子2名